旧統一教会の教義と実態との乖離について

 

 

今回は旧統一教会について、旧統一教会の元二世信者であり、長年献身的に活動してきた元信者としてできるだけ分かりやすく紹介したいと思う。
 昨今何かとメディアを騒がせているこの団体だが、特に若い世代の方は詳しい実態を知らない方が多い。

 統一教会の創設者は韓国の故・文鮮明氏であり、現在は三番目の婦人である韓鶴子氏が総裁である。
 文氏には子どもが12名いて、そのうち後継者と目されていた数名の子息は、旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)とは敵対関係にある団体を創設している。

 旧統一教会の教義は、創設者文鮮明氏が解いた「統一原理」である。
 統一原理は、分派し、当初の目的を忘れて形骸化したキリスト教会を是正・統一し、宗教と科学の調和による真理の解明を解いている。
 また、歴史上人類に悲劇が絶えないのは、人類始祖が「間違った愛」により堕落し、その堕落した血筋が綿々と続いてきた結果と説く。
 それゆえ、人類の悲劇には、「正しい愛」でしか救うことができないことから、それを解決するために神から召命されたのが救世主である文鮮明氏。
 愛は血筋であり、救世主の祝福による結婚をすることで、仮の神の血筋を受け継ぐことができ、いずれ何世代か先には救世主の家系を受け継ぐ、つまり文鮮明氏の家系(文家)が拡大していくことこそ、教義の肝となるのだ。 
 
 しかし、前述したように、文氏の家系が拡大するどころか、批判したキリスト教と同様の分派の末路を辿っているのが現状ではないか。

 この実態が、教義と大きく乖離していることを、現総裁や幹部たちは知ってか知らずか、自らの団体の汚点を指摘することもせず、すべてを正当化して突き進んでいるのだ。

 私は、教義自体に感銘を覚え長年、旧統一教会で活動してきたが、旧統一教会の実態と教義との乖離を確信するのにずいぶんと時間を要してしまった。

 ここ日本で、救世主の必要性を説くのは難しい。基本的には、平和であり、自分さえよければという考えが強い日本人にとっては、救世主の必要性が腑に落ちるわけがない。
 旧統一教会に通っている信者の多くは、教義にある救世主を求めてというよりは、先祖や子孫のためという割と身近な理由で献金を捧げているのが実態だ。というか、組織が献金の捻出のためそう仕向けているのかも知れない。教会の布教活動のツールとして、家系図四柱推命などを利用するのもそのためかも。

 だからこそ、悲しいかな、信者の多くは、教義と本当の実態の乖離に気付くことは一生ないのだ。

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