旧統一教会被害者の救済について

 被害者救済法案について 
 
 12月1日、被害者救済新法が閣議決定され、法案が国会に提出されることとなった。
 「霊感」等で不安に付け込む等の行為を禁止し、これらの行為を取り消しの対象とし、配偶者や子が本人に代わって取り消しや寄付の返還を求めることができるというもの。

 この法案に対して、山上容疑者の家庭で考えてみる。
 母親が旧統一教会に対して高額な献金をしたことを家族が知れば、一旦は、配偶者や子供が取り消しを求め、お金が戻ってくる。
 しかし、自主的に献金をしている母親が教会とつながっている以上、高額献金の連鎖は続いていくのではないだろうか。

 また、団体の配慮義務についても「個人や家族の生活の維持を困難にしない」など曖昧な基準しかない。

 これでは、被害者の救済に到底なり得ない。

 また、小川さゆりさんらが訴える「宗教法人法による解散命令」でも、任意団体として存続はできることから、さらなる被害拡大につながりかねない。

 これらのことから、法による救済はこれが限界だろう。

 ではどうすれば、根本的な解決が望めるのか。
 教会内部の構造、献金の流れを追いながら、根本問題を模索しつつ解決策をさぐっていきたい。

 

統一教会献金について

 

 献金にはいろいろ種類がある。

 毎週日曜日の礼拝時に集まってくる「感謝献金」や月収の10分の1を捧げる「10分の1条」。
 それ以外にも、韓鶴子氏が新たに出版した聖なる本を各家庭に置くなどの名目で捧げる「特別献金」。韓国の聖地「清平(チョンピョン)」にて捧げる先祖解怨のための献金。教会主催の祝福結婚を受けるための「祝福献金」など、名目は五万とある。

 教会の献金は主に婦人部が担当しているのだが、毎月の献金の集まりが芳しくないと、地区長(全国を5つに分けた「地区」の責任者で、定期的に各教会を巡回している)からかなりの叱責を受けると、成和部長(青年をまとめる部署の責任者)から聞いたことがある。
 そのため、婦人部の担当者は、毎月の献金ノルマに対して戦々恐々としているのが実情だ。
 また、多額の献金を捻出する会員に対しては「篤志家」として、特別な会合を持つなどの好待遇を受けることができる。

 献金について、今年7月に田中富広会長が、「献金についての金額やノルマに決まりはない」と明言し、各教会に指導を徹底するという趣旨の会見をしたが、私が知る範囲では、少なくとも教会単位どころか、地区単位での献金ノルマは存在していた。

 しかしながら、現場で献金集めをする献身者(教会スタッフ)は、上からの叱責による恐怖にかられ、時には使命感にかられて仕事をしている。現場に責任を押し付ける記者会見は、統一原理で、自身を犠牲にして他者を慈しむことを学んでいる立場の発言とは到底思えない、ひどい会見だった。

 どこにメスを入れれば膿が出てくるのか。

 少なくとも、現状の法整備や元二世信者たちが訴える中途半端な救済方法では、膿に到達することなく、しずかに幕引きを迎えることになるだろう。

 そうさせないためにも、引き続きこの問題に対して、アプローチをしていく。