「旧統一教会」の解散命令の是非について

はじめに

 山上徹也容疑者から銃撃を受けた安倍元首相が凶弾に倒れてから数か月が経過した。これまで静観してきた私は、元二世信者である小川さゆり(仮名)さんの記者会見を機に、教会内部の事情をある程度知る立場から、旧統一教会問題への解決策を検討していきたいと考え、このブログをはじめた。

 これまで、メディアで二世信者又は元二世信者の主張を幾度か耳にしたが、教会の内部事情をさほど知らない立場から教会批判するものが多い。今回の小川さゆり(仮名)さんの記者会見も、ご自身の家庭内での被害体験を振り返り、情に訴えかける主観的内容がほとんどであり、旧統一教会の「解散命令」を訴えるには、あまりにも教会内部の情報が不足しており、説得力に欠ける。
 
 私は、主観的な旧統一教会批判ではなく、自らが実際に体験してきた旧統一教会の実態を分析しつつ、本当の問題解決に向けた取り組みを模索していきたい。

 

私自身について

 私は、「旧統一教会」の元二世信者(両親が統一教会の祝福結婚を受ける前に産まれた信仰二世)である。
 物心ついた頃から両親に連れられて教会に通い、大学生になると教会から勧められた教会関連の任意団体「原理研究会」に所属した。大学卒業後は一般就職せず、原理研究会の献身者(スタッフ)として朝から晩まで寝る間を惜しみ、身を粉にして働いてきた。

 お金はなかったし、時間的な自由もなかったが、今振り返っても充実した毎日を送っていたと思うし、後悔はしてない。
また、20歳代終盤からは、地元の教会で献身者(スタッフ)としても働いてきた。

 そんな私が、教会に所属することに対して違和感を覚えるようになった。
 それは、教祖である文鮮明氏が亡くなってから、組織が分裂し、腐敗していく様を身近に感じたからだ。
 先輩・後輩に関わらずいろんな人と教会の腐敗説について議論を交わした。
 しかし、納得のいく回答は得られず、最終的には教会を去り、社会で就職し、家庭を築いている。

 

解散命令により被害者が増える?

 現在、旧統一教会の解散命令についての議論が国会等においてなされているが、宗教法人法に基づく解散命令が執行されれば、本当に旧統一教会の問題は解決するのだろうか。
 私は、旧統一教会の解散命令の議論について、これまで解散命令が下された「オウム真理教」、「明覚寺」とは大きく事情が異なると考えている。
 それは、外国発祥の宗教であり、現在もなお、日本教会からの献金に依存している国際組織である点だ。
 つまり、たとえ旧統一教会が宗教団体法人格を剥奪されたとしても、任意団体として活動を続けることができる。その場合、高額献金の連鎖が消えるどころか、宗教団体法人格を剥奪されたことによる税金などの負担増に伴い、残された教会員の献金ノルマが増加することは容易に想像がつく。

 本当に旧統一教会の被害者救済を考えるのならば、「解散命令」後にどんな二次被害が想定されるのかを踏まえた上で慎重に議論を進めてほしい。

 

 次回は、教会内部の構造について詳しくお話ししたい。